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三丁目のレストランで悪意が漏れた。通報を受けすぐに駆けつける。非常線が張られ警官は野次馬を排除するのに忙しい。
身分証を提示し中に入る。「げっ」新人が声を上げる。中はドス黒い悪意が充満していた。防護服なしでは五分と保たないだろう。簡易シールドが張られていたが、多少は外に漏れ出しているかも。すぐに二人ほど外にやった。
屋外であればいっそ燃やし尽くす手もあるが、ここは吸着マットで丹念に吸収していくしかない…。
すべてが終わり本部へ帰ると警察から取り調べの報告が上がって来ていた。
「ひとりですか。へぇ、こんな優しそうな人がねぇ」
添付画像を見て誰かが言った。その体から黒い悪意が染み出す。汚染されたか。
「おい、気をつけろ」
漏れ出した悪意を急いで吸着し、私は注意を促した。
「今日から3日、旨いもの食って好きなことしてぐっすり眠れよ」
ひとつの悪意はまた別の悪意を呼ぶ。我々だって例外ではないのだ。
SF
公開:20/08/24 12:56

工房ナカムラ( ちほう )

ボケ防止にショートショートを作ります

第二回 「尾道てのひら怪談」で大賞と佳作いただきました。嬉!驚!という感じです。
よければサイトに公開されたので読んでやってください。

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