御前の名を付けよう選手権

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 或る日、主催者が告げた。今日から百メートル競技に於いて、『仇名を付ける権利』を付与する。
 競技者達は浮かれ返った。
 内実は斯うだ。
 百メートル走一位の者は八位の者の仇名を。二位の者は七位の者の仇名を。三位は六位。四位は五位。
 一人の競技者が言った。同率四位が二人の場合、如何するんです?
 主催者は答えた。
「うむ。其の場合は、籤引きで決めよう」。
「不公平だ。外れた方の権利は蔑ろか」。
 主催者は困ってしまった。神速の超速とか、二重表現も目立ったからだ。
 主催者は、決めた。
「其の場合、三位迄が権利を有するという事にだな……」。
 競技者達は呆れ返った。
「全員が同タイムだったら、其の場合は?」。
「其れは、全員が権利を失うという事に……」。
 誰もが其処で気付いた。
 此れは、普通の百メートル走だと。
その他
公開:20/08/23 21:42
更新:20/08/24 11:05

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