貝殻アイス

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世界中の金持ちから、お菓子の王国と慕われる小国がある。この国民がつくる高級スイーツには、辛口評論家も舌をまく。連日、大勢の金持ちが訪れる。
一番人気は、哲学ジュレ。アンモナイトが眠る、永久凍土でとれる氷を使い、特別なレシピで作るジュレ。舌の上で、アンモナイトがいなかったら今は?私がいなかったら未来は?という考えが、渦を巻く。哲学ジュレは、食べると賢く生きたくなると好評だ。
が、昔のこの国は違った。貧困国。
国王が代わり、質素を愛しつつ、外貨を稼ごうと国民に提案したことで変わった。
国民は自主的に、高級スイーツを食べない。代わりに、捨てる食材で、美味しいスイーツを作ることを好む。そうやって、貝殻を使ったアイスもできた。これが絶品。
思わず国王は自問する。
今の政策を続けるのは、正しいことだろうか?と。

国民の凄腕にかかれば、ゴミがごちそうになる。そして、そのゴミばかり、国民は喜んで食べる。
その他
公開:20/08/23 20:44
更新:20/08/27 21:08
スクー 貝殻味のアイス

久保田 人月

よろしくお願いします。
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