ダイバーシティ

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二〇二X年――。二度目の東京オリンピックも無事終わり、一息ついた東京では、お台場の再開発が目玉プロジェクトとなっていた。
一時期、IR(統合型リゾート)に絡む賄賂問題で政権与党の衆議院議員が逮捕される出来事があったものの、ようやくほとぼりも冷め、お台場に一大カジノ施設を着工することが正式に決定した。カジノ施設の電源は、津波対策の観点から高台に設置される小型原子炉で賄う予定だ。
お台場は、江戸時代末期、徳川幕府が異国船を打ち払うための砲台を湾岸エリアに設置したことが地名の由来だ。だが、今や多くの外国人を受け入れる場所へと様変わりしようとしていた。
新交通ゆりかもめが通る新駅は『ダイバーシティ』と名付けられ、日本語にすれば「台場都市」、英語にすれば「人種、国籍を問わないインターナショナルなシティ」という意味合いになる。
お台場の壮大な試みが成功するかどうかは、自由の女神像のみぞ知る、だろう。
その他
公開:20/08/22 07:05
東京オリンピック お台場 IR 衆議院議員 カジノ 小型原子炉 江戸時代 徳川幕府 砲台 ダイバーシティ

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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