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ふと思い出す。君の顔、君の声。あの時はまだ恋の蕾すらなかったけれど、今では思う。声をかければよかったと。思えばいつだって過ぎてから恋をする。必要なのは少しの勇気。異性から声をかけられたって、きっと頭で想像するほどの悪いことは待ってはいない。ひとり歩く帰り道も遅くまで勉強したあの日も君と同じ場所にいるけれど、君は誰かと笑ってた。少し胸が痛いような、でもどこか嬉しいようなそんな日々。ただ、それだけ。それだけがどれほどの幸せだったのだろうか。願ったって叶わないけれど、あの日に戻れるなら少しだけの勇気で、君に声をかけて、君と同じ歩幅で同じ時間を歩みたかった。もう君が今どこにいるかはわからない。存在する場所を隔てて、遠くで笑っているのかもしれない。そうだといいな。せめてこの後悔だけは実るように君は幸せになってください。
でも、それでもその前に一つだけ聞かせて。
ねぇ、君はどうだった?
でも、それでもその前に一つだけ聞かせて。
ねぇ、君はどうだった?
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公開:20/08/22 06:00
更新:20/08/22 06:23
更新:20/08/22 06:23
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しっかり読んで今後の糧とします。極々短い感想でも結構です!
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