呪いのビデオ

いじめっ子達から呪いのビデオを見るよう命令された。
ビデオをデッキに入れ、画面を注視する。井戸から髪の長い女が出て来た。テレビから髪の長い女が這い出て来た。私はそれをじっと見つめる。
『…貴女、これから死ぬのよ。何で怖がらないの？』
女の質問に「いじめを苦に自殺するより、貴方に呪い殺されて死んだほうがまだ家族にも迷惑かからないかなと思って」と自虐気味に笑う。
女は溜息を吐くとスマホを取り出し、どこかに連絡する。
『今日は帰る』
女はテレビの中に戻り、私は命拾いした。

翌日の学校は大騒ぎだった。
「お前をいじめていた３人、死んだぞ」
隣の席の男子が教えてくれた。
「何であの３人が？」
「あの３人、小学生のトシオ君っていう子を裸にして遊んでいたらしいんだ。その子が警察に駆け込んで社会的に死んだんだよ」
もしかして女が電話をかけていた相手って…
そこで私は初めて肉体的な死より怖いものを感じた。