回想マラソン

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20XX年大会で新種目『回想マラソン』-思い出を駆け抜ける単独レース―が注目された。
選手は用意されたベッドで眠りにつくと、自分の思い出が走馬灯となって次々と現れる。
その中を走り抜け、ゴールまで辿り着いたタイムを競うレースだ。
選手に年齢制限はないが、距離の平等を期すため20歳地点からのスタートとなり、1年=1㎞の計20㎞がコースとして定められている。

一見、思い出風景を走るお気楽レースに捉えられがちだが、思い出は時に誘惑や同情に姿を変える。
身命を賭した部活動の熱気にそそられ、終わったはずの大恋愛に心酔し、幼少期に消えた友人に声をかけられる。そんな障害に囚われない屈強な心の有無が、順位を左右するのだ。

第一回大会では、一握りの選手が健闘を見せたが、ゴールを目前にして皆膝から崩れ落ちてしまい、完走者は現れなかった。
ゴールテープは『自分が産声をあげた瞬間』の先にたゆたっていた。
SF
公開:20/08/27 18:00
更新:20/08/25 22:27
空想競技 空想競技2020

まのじゅん( 神戸 )

まのじゅん/間野 純
神戸市在住の26歳
執筆は2020年春ごろから

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