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あれはたしか4年前くらいか。
優子と付き合って、はじめておうちデートをしたとき、一緒にハンバーグを作った。
まずは玉ねぎをみじん切りにするのだが、玉ねぎの汁が目に入るのを嫌がる優子は、水中ゴーグルをつけて玉ねぎを切っていた。
エプロン姿に水中ゴーグルという、家庭的かつスポーティな見た目がなんとも間抜けだった。それでいて、優子を世界一愛くるしいとも思った。
そのときから、結婚するなら、優子が玉ねぎを切っているときにプロポーズしようとなんとなく決めていた。

そして今まさに、優子は玉ねぎを切っている。
次のおうちデートでハンバーグを作るのは、どれほど先になってしまうだろうか。
もう今しかない。
「なあ優子。おれと結婚してくれないか」
「え…」
玉ねぎを切っている手を止め、優子はこちらに顔を向ける。
水中ゴーグルをちゃんとつけているのに、なぜか優子はぼろぼろと泣いていた。
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公開:20/08/21 20:00

日常のソクラテス( 神奈川 )

空想競技コンテスト銅メダル『ピンポンダッシュ選手権』
空想競技コンテスト入賞  『ダメ人間コンテスト』
ベルモニー Presents ショートショートコンテスト入賞 『縁茶』
X (twitter):望月滋斗 (@mochizuki_short)

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