鼓膜、耳小骨、感覚神経

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それはまず、耳をくすぐる。
そうして熱を帯びたそれは、耳奥へと潜り込む。
それは溶けるように拡がって、脳がまどろむ。
眼球の裏側を通って、瞼を少し重くする。
首の内側を撫でながら両肩に広がっていく。そこで無数に分散し、幾つもの孔を開けて皮膚を突き破って体外に出る。痛くはない、痒くもない。ただ、その感覚に脊椎が震える。
柔らかな羽のような、筆のような、あるいは電気ように、胸部をまさぐる。
肌に馴染んで、それは腹部、または手先、あるいは下半身、もしかしたらその全てへと流れ込んで霧散する。もしくは固まる。
拡がったそれは喉に集まり、湿った吐息となって口から溢れ出る。

そのあとのことは覚えていない。
その他
公開:20/08/22 18:54
更新:20/09/11 06:33

G.G. Rooster( 東京 )

じーじーるーすたー。

メールとかLINEとか、個人に対して文章でのやりとりが苦手なので、コメントを残すのも苦手です。なので☆だけ押してます。
コメントいただくのはめちゃくちゃ嬉しいんですが、返信も苦手なので諦めることがあります。

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