ケツマツ　ハ　ダーク

スカイツリーからしんしんと札束の雨が降り注いだ。無愛想な福沢諭吉がヒラヒラ無数に舞う。地球最終日の天気は「曇りのち金」誰が撒いたのか、なんとも非現実的で滑稽な最終日だ。地面に積もる紙切れを拾うものなどいない。
新ウイルスか。或いは隕石の衝突か。某国の核ミサイルや火山噴火、大津波やサイクロン？滅亡が判明してから意見を変え、あらゆる学説を世界的な権威達が唱えた。デマだと信じる時期もあった。しかし、残念ながら終末は免れない。理由などない。今日地球は終わる。ただ「そうなっている」のだ。
盗みや殺人、欲望に身を任せた犯罪が横行した。どうせ助からないなら…。誰もが自暴自棄にそう考えた。が、あくまでそれは一過性の混乱だった。最後の日そんな者は誰一人いない。もう世界は終わるのだから。
原因はない。そこには”結果”があるのみだ。その日20XX年９月某日。夜が更けるように世界は終わり、次の日は来なかった。