Moonstruck Ⅲ 〜月の目覚める夜に

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「嬉しいというか、厳しいというか…ねえ?」
物語は大して興味もなさそうに生返事をした。
「でも感謝してるよ。あなたが満月の夜に降ってきたから…」
「違う」
物語は私の言葉を遮った。
「これまで仲間の受賞を喜び、自分の落選を悔しがりつつ、全てを力に変えて戦ったのは君だ。そして仲間の存在が絶えず君を力づけた。違うかい?」
私は黙り込んだ。
「最終候補に残ったのは確かに立派だ。でも君にはもう判っているはずだよ。君の書く物語には大きな欠点がある。君はある仲間が書いた物語によって、それに気づかされた。そうだね?彼は紛れもなく、君にはないギフトの持ち主だ。でも君は君の武器で戦うしかない。厳しい選評はそのためのものだろう?」
そのとおりだった。苦笑する私を見て、物語も笑う。
「また遊びに来てくれる?」
「ああ…まあ気が向いたら、ね」
物語は私の頭を軽く小突くと、そのままふらりと繊月の夜へ消えていった。
ファンタジー
公開:20/08/20 12:20
Moonstruck Ⅰ & Ⅱ 続編 本シリーズで登場した物語が 『第二回 日本おいしい小説大賞』 最終候補に残ったものの 残念ながら 大賞受賞には至りませんでした 厳しい講評も頂きましたが 今後に活かせるよう頑張ります 仲間の皆様に深く感謝致します

秋田柴子

2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnoteと公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・note×Panasonic「思い込みが変わったこと」コンテスト 企業賞
・SSマガジン『ベリショーズ』掲載
(Kindle無料配信中)

【近況】
 第31回やまなし文学賞 佳作→ 作品集として書籍化(Amazonにて販売中)
 小布施『本をつくるプロジェクト』優秀賞

【note】
 https://note.com/akishiba_note

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

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