会話を奪う

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「ねぇ、知ってる? 会話を奪う妖怪の話」
「何それ、そういう人の事?」
誰かが話しているのに横から自分の話にすり替える、という話かと思ったがどうやら違うらしい。
「そんな人を揶揄してるんじゃなくて、本当にそういう妖怪がいるらしいのよ。お隣の三郷さんが玄関先で友達と話している時に、知らない女性が突然割り込んできて、パクパク口を動かす動作をするのね。とっても気味が悪くて二人で呆然と見てたらしいの」
「何、その怪奇現象。その後は?」
「うん、それが分からないのよ。聞いたんだけど結末を食べられちゃって、どうなったか覚えてないみたいなの」
二人の足元にすっと割って入ってきた影が恐ろしくて口をつぐむ。
突然流星のごとく現れたお笑いコンビがいた。オチが奇抜で、あっという間にお茶の間で人気になった。敏腕マネージャーが妖怪らしいと真しやかに噂され、取材が殺到したが、記事がどうもまとまらないらしい。
その他
公開:20/08/20 10:02

射谷 友里

射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。

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