歌っている

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 突然、轟音が鳴り響いた。
 寝ていた俺はあまりの音量に飛び起きた。時計を見ると朝の4時30分過ぎ。
 ああ、何だこれまじうるさい!俺は酷い音に両手で耳を塞ぎながら外に飛び出した。
「何なんだ!?」
 近所中の人がみな外に出てきていた。冗談じゃない本当にうるさい。鼓膜が、破れるぅ!
 日の出の時刻、太陽がゆっくりと上がってきている。まさか……。
「太陽が、歌っている……?」
 地響きのするほどの轟音で太陽が歌っている。
 日本中に未曽有の被害をもたらした長雨もようやく終わり、昨日とうとう梅雨明け宣言がされた。
 きっと太陽も長雨による被害に心を痛めていたのだろう。やっと自分の光で人々を助けられる、嬉しくて仕方ないのだろう。ありがとう太陽。
 許してあげたい。太陽復活記念の祭りでも開いてやりたいくらいだ。
 だけど耐えられない。この音の大きさももちろんだが、太陽は音痴だった、致命的なほどに。
その他
公開:20/08/21 10:49

深月凛音( 埼玉県 )

みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[節目]入賞『私の母は晴れ女』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[縁]ベルモニー賞『縁屋―ゆかりや―』

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