そっくりご先祖選手権

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「さあでは次の方! あなたの『そっくりご先祖様』は誰ですか?」
「ひいおじいさんになります。亡くなったのは35年前で、私が生まれる5年前です」
「もちろん会ったことは?」
「ありません」
「わかりました。では写真をどうぞ」
 挑戦者は大きく拡大された写真を客席に向けた。
「これは結構似てますね。目元なんてそっくりじゃないですか。あ、そして、どうやら早くも準備が整ったようです。では皆様もご唱和ください!『ご本人登場』です!」
 スポットライトが一点に集まり、暗幕が勢いよく開く。――そこにいたのは、先ほどの写真の「ひいおじいさん」だ。
 現在ではタイムマシーンが一般化され、過去の人を呼んでくることなど造作もない。そしてこの選手権は、故人をいきなり呼んでくる演出が受けているのだ。
 パネルに審査員のつけた点数が順に表示されていく。ひいおじいさんは、自分の状況が呑み込めずにポカンとしたままだった。
SF
公開:20/08/21 07:29
更新:20/08/21 22:27

たけのこ

たけのこです。
諸事情によりきのこたけのこ論争には加担できません。

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