怨霊へ至る400字

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 雑居ビルから女が飛び降りた。けれど、女は死ぬことができなかった。否、死ぬのが遅れたのだ。
 地に激突し、首が折れ、内臓が破裂し、手脚が千切れそうなほどにねじ曲がろうとも――女は即死することができなかったのだ。
 
 畜生…殺してやる…。
 心の中で叫んだ。

 苦痛と絶望の中で、女はこれまでの人生を振り返った。いじめられていたこと。努力しても報われなかったこと。人々に蔑まれ、騙され、苦しみ抜いたこと。

 …何で、アタシだけが?
 無意識に女は呟いた。

 許せることではなかった。なぜ自分がこれほどまでに不幸な最後を遂げ、他のヤツは幸福を謳歌できるのか? 納得できるワケがなかった。
 …殺してやる。
 すべての人間が憎かった。憎くて憎くて、殺しても殺してもまだ殺し足りないと思った。

 …許せない。

 ドス黒い憎悪で心が満ち、女は、過去――自分を不幸にした人々の元へ行こうと決めた……。
ホラー
公開:20/08/21 01:15
更新:20/08/21 06:42
怨霊 まー、そうなるよねw

Sees

ショートショート好き。
得意ジャンルはホラー。
座右の銘は『清く正しくいやらしく』。
好きな書籍は『悪魔の辞典』と『悪魔の寓話』。
制限400字という発想に感銘。
コメントとフォローはできるだけ返します。

楽天ブログにて『株式会社SEES』の名でショートショートと短編小説掲載中。
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さて、今日はどんな事件が起きることやら……。



 

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