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ポルシェが走り去ったのを横目に、中年男が店に入ってきた。
「へへ、まいどあり…今日は忙しい日だねぇ」
店主の小言を断ち切るように、男はタワーマンションと遊ぶ金を要求した。
「へぇ、構いませんけど。差し出すものが分かっての事なんでしょうねぇ?」
男は会社をクビになり妻にも逃げられ、余生は女を連れ込んで毎晩遊ぶんだと言い張った。
遠くの道で轟音が聞こえると、煙の臭いが二人の鼻先をかすめた。男は身震いする。
店主は地図を出し、「ここがお前さんの部屋になっているからね。そこに金も積んである。ささ、気が変わらないうちに…」男は地図を握ってそそくさと立ち去った。
「へへ、まいどあり…」
店主が一服ついていた頃、老婆が店を訪れた。
「ばあさん、アンタはだめだ。生い先短くちゃあ払えるもんも払えねぇだろ。ささ、帰っとくれ。ささ!」
翌週、とある中年男のベランダ転落死亡事故が報道された。
「へへ、まいどあり…今日は忙しい日だねぇ」
店主の小言を断ち切るように、男はタワーマンションと遊ぶ金を要求した。
「へぇ、構いませんけど。差し出すものが分かっての事なんでしょうねぇ?」
男は会社をクビになり妻にも逃げられ、余生は女を連れ込んで毎晩遊ぶんだと言い張った。
遠くの道で轟音が聞こえると、煙の臭いが二人の鼻先をかすめた。男は身震いする。
店主は地図を出し、「ここがお前さんの部屋になっているからね。そこに金も積んである。ささ、気が変わらないうちに…」男は地図を握ってそそくさと立ち去った。
「へへ、まいどあり…」
店主が一服ついていた頃、老婆が店を訪れた。
「ばあさん、アンタはだめだ。生い先短くちゃあ払えるもんも払えねぇだろ。ささ、帰っとくれ。ささ!」
翌週、とある中年男のベランダ転落死亡事故が報道された。
ホラー
公開:20/08/26 18:00
更新:20/09/03 13:12
更新:20/09/03 13:12
創作落語
死神
まのじゅん/間野 純
神戸市在住の26歳
執筆は2020年春ごろから
お立ち寄りいただきありがとうございます
ふらりと交流できれば幸いです
▼NOVEL DAYS
https://novel.daysneo.com/author/j_mano37/
▼入選作品
・J-WAVE SPARK×NOVELDAYS ほっこりショートコンテスト第1弾「モノのつぶやき」
「子に捧ぐ祈り」
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