夏の路地、僕1人

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とても静かな夜。
知ったはずの道、遠回りを重ねて迷う。
GPSを起動させて答え合わせするには勿体なく思える偶然。

電信柱の影に猫。
知らぬ家のテレビの音。
湿気で汗が吹き出る。

緑に囲まれた黄色い電灯。
掠れた白線の上を行こう。
踏み入れたことない神社に寄ろう。

静かな夜道。ワンダーランド。
洗剤の香りに一人暮らしを思い出す。
君はたまに僕の家に来て洗濯物を干してくれたね。
銭湯行こう。遊園地行こう。海へ行こう。
沢山並べた行きたい場所。

ノスタルジックになるには丁度いい、こんな夜。
思い出ひとつひとつが輝き出す。
この眩しさも温かさも、その瞬間は気付かなかった。
沢山君を傷付けた。

アスファルトから夏の匂い。
僕等がいた、あの季節。ふざけあった時間。
僕は思い出を道連れに。
かき消したいような焦燥感でもって踏み出す。
忘れたいような孤独感でもって踏み出す。
知った道の方向へ。
青春
公開:20/08/20 22:24

雨森れに( 東京 )

色合いの綺麗な物語を紡ぎたい。
シーンごと切り取られた刹那。
不思議、恋愛、ファンタジー、怪談、純猥談などをチラホラと。
中身はお酒が好きなアグレッシブ。

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