将棋の神様にお願い

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対戦相手を座して待つ。今日は長い戦いになる…と想像するも、いや…と首を振る。
もしかしたらすぐに終わるかもしれない。私がこれより挑む相手は将棋の神様だ。
障子戸が開き、立派な髭を蓄えた老人が現れた。威厳たっぷりの着物姿はまるで一振りの刀のよう。棋譜と立会人にもピリッとした空気が流れる。
「それではこれより、神人戦を始めます」
互いに礼。先手は私。お決まりの定石の一手。
後手。将棋の神はそんな私の一手を見ると溜息を吐き、予想だにしない一手を指してきた。
これは悪手か?あらゆるパターンを脳内で弾き出し、最善手を指す。
そんな私を嘲笑うかのように将棋の神は予想だにしない手を指してくる。
必死の形相になる私に対し、将棋の神は呟いた。
「勝利に固執するのではなく、将棋を楽しみなさい」
視野狭窄となった頭を叩かれた気がした。
私は頭を下げた。「参りました」と。
神は微笑む。「もう一局どうですか?」と。
公開:20/08/20 19:31
空想競技・個人戦

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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