感電花火

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 僕が小学生の頃、感電花火というものが流行った。
 男子と女子が一緒にその花火を持って火をつけて、体がビリビリ感電すると将来結婚するというものだ。
「良平、私とやろうよ」
 僕は美佳とやった。正直、うるせーし面倒な奴。
 ふたりで花火を持って着火した瞬間、ものすごい衝撃が体を走った。手だけじゃなくて体中がビリビリと痺れた。僕は花火を落としてしまった。美佳は不思議そうに僕を見ていた。どちらかだけが感電することってあるのか? 答えはわからぬまま、美佳は秋の終わりに転校してしまった。

 20年経って、同窓会で美佳と再会した。
「もう29歳、私も潮時かな」
 風の噂で、美佳は超美人になって男遊びに忙しいと聞いていた。
「ねえ、感電花火って覚えてる? あの感覚、忘れられない。いつか良平と結婚できるんだと思うから、気楽に男遊びできたのよ」
 え?
「そう、私もあの時、感電していたの。結婚しよ、良平」
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公開:20/08/19 08:12
更新:20/08/19 08:15

深月凛音( 埼玉県 )

みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[節目]入賞『私の母は晴れ女』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[縁]ベルモニー賞『縁屋―ゆかりや―』

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