黒化病

朝起きると両手が真っ黒に染まっていた。
洗面所へと走る。両手だけではない。全身が真っ黒に染まっていた。
その姿はまるで全身タイツを着ているかのよう…服を着れば、その服は体に吸収されるように黒に染まり、体にぴったりと張り付く。
改めて鏡に映った自分を見た。鋭い目つきの三白眼。全身が黒いせいか、浮く程に真っ白な歯。ため息が出る…
私はその日、会社を休んだ。上司からネチネチと嫌味を言われ、腹が立ったがこの状態だと仕事にならない。
次に近くの名探偵病院に電話した。
黒化病。別名・犯人病とも呼ばれるこの病気は殺意が高まると身体に起る疾患のようなもの。
治す方法は一つ。憎き相手を殺害し、名探偵にそのトリックを暴いてもらう事。
しかし殺人は犯罪である。そこで名探偵病院という、疑似殺人を行う事でストレス発散と疾患治療に勤める施設に行く。
今日も上司を疑似殺害するとしよう。
上手くいけば午後から出社できる。