Dead　＆　a　curse　2

　東名阪自動車道をホンダのCRZが走っていた。
　運転席の男は時折大声で喚き、怒鳴り、泣きながらハンドルを握っていた。

「…あの中古車屋、絶対に殺す」
　男は呟いた。

　売りつけられた中古車は"異常"だった。減速不可、窓の開閉不可。携帯電話は後部座席。救助を求めることも不可能。しかも油断していると、ハンドルの操作にまで自由が利かなかった。

「死んでたまるかっ!」

　車は伊勢方面に向かうかと思えば、急遽逆走し、大阪へと進路を変えた。非常に危険な運転だった。

「伊勢に入れば"詰み"なことぐらい知ってんだよ…ガソリンが尽きるまで…残り、何キロだ、あぁ？」

　走行可能距離のメーターを睨み、呪うように男は叫んだ。

「俺を殺せなくて残念か？　だがな安心しろ、あの中古車屋と、お前を轢き殺した野郎っ！　全員俺がブチ殺してやるっ！」

　助手席に座る女の幽霊は、ほんの少しだけ――微笑んだ。