神の恵み

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川の水は夏でも芯から冷えている。
一気に足首まで突っ込む。
火照った皮膚が冷却され、水面越しにも白いのがわかった。
彼女の足が動く度にアメンボが移動する。

水鏡で真夏の入道雲が見えた。
太陽を討ち取ろうかというほど大きい。
しばらくは降らなさそうだ踏んで彼女はそのまま川水で空を見ていた。

澄みゆく青。
汗が肌を伝い、日差しが啄む。
白い雲が生き物のように動く。
あれも水なのだ。
綿のようでいて、自然の水が天に昇ったものだ。

この村は廃され、祖母の亡くなった今では訪ねるものは私1人。
夏になるとここにくる。
裏庭に眠る龍神様を綺麗にする為。
最期まで神様の世話をしていた老いた指を思い出す為。

『おじいさんが死んでからは神様一筋だった。もしこんなおばあさんでも良かったらお嫁さんにして貰ってくれないかねぇ』

寂しいねぇと呟く背中がとても小さかったのを覚えている。



雨が降り始めた。
ファンタジー
公開:20/08/19 21:11

雨森れに( 東京 )

色合いの綺麗な物語を紡ぎたい。
シーンごと切り取られた刹那。
不思議、恋愛、ファンタジー、怪談、純猥談などをチラホラと。
中身はお酒が好きなアグレッシブ。

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