カニの神様

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近所の海にカニの神様を祀った祠がある。
この神様は自慢のハサミで何でも切り離す事が出来るらしい。
私は暴力を振るう彼氏から逃れ、神様にお願いした。どうか彼と別れられますように…
『はいはい。分かりました。じゃ、小指出して』
祠の中から、小さなカニが出て来た。
『私、ここで神様やっているカニです。ハサミの事なら何でもお任せあれ。縁切り?OKOK!話聞いていると深刻そうだし早く切っちゃおうか』
軽いノリのカニに恐る恐る小指を差し出す。
『ほい!チョッキン、とな!』
私の小指から黒い糸がはらりと落ちた。
『黒の糸は怨を意味する。これでもう大丈夫だよ』
でも…と私は心配する。
『大丈夫大丈夫。今頃、私の友達の栗と雀蜂と石臼と馬糞が彼を懲らしめている事だろう。きっと泡吹いて倒れているさ。その後きつく言っておいてあげるよ。言う事を聞かないと、耳を切り落とすぞって脅すから』
さすが神様。怒らせると怖い…
ファンタジー
公開:20/08/19 19:02

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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