ウチニカエロウ

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「私ハ宇宙人ダ。コノ星ヲ侵略シニ来タ」
そんなことぼくに言われたって。
「オイ少年、オマエノ両親ヲココニ連レテコイ。話ヲスル」
『パパとママ? 今、パパは夕飯のあとのお皿洗いをしてるし、ママは弟のめんどうを見てる。弟はまだ赤ちゃんだから、ひとりじゃまだなにもできないんだ』
「ソンナコト関係ナイ。ハヤク」
『だから無理だってば。パパとママは忙しいから。あなたにも家族はいる?』
「妻ト、子ドモガ2人イル」
『ウチと一緒だね』
「デモ最近、家族ニ会エテナイ」
『どれくらい会えてないの?』
「150ネン」
『寂しくないの? 家族とそんなに長い間、離れ離れになるなんてぼくには考えられないよ』
「サミシイ」
『会いに帰りなよ。ほら、涙出てるじゃん』
「カエル」
『うん。それがいいよ』
宇宙人はピカピカのUFOに戻ると、一瞬にして夜空へと消えていった。
SF
公開:20/08/19 11:56
更新:20/08/19 12:17

日常のソクラテス( 神奈川 )

空想競技コンテスト銅メダル『ピンポンダッシュ選手権』
空想競技コンテスト入賞  『ダメ人間コンテスト』
ベルモニー Presents ショートショートコンテスト入賞 『縁茶』
X (twitter):望月滋斗 (@mochizuki_short)

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