オレたちの運動会

　業者に依頼して100人のクローンを作らせた。手のひらサイズのクローンだ。オレの記憶と人格をコピーしてある。
　一畳の箱庭に競技場を作った。運動会をさせるためだ。名前は番号で指示して予行演習をした。
　いよいよ運動会が始まった。
　リレー、騎馬戦、玉入れ……。
「赤がんばれ！　白がんばれ！」
　プログラム通りに競技が進行していく。がんばるオレの姿は美しかった。
　表彰式。活躍したオレの順にメダルを与えた。金、銀、銅。メダルを手に入れたオレたちは泣いていた。
「みんなよくがんばった！」
　オレはオレを見て泣いた。
「ご褒美だ」
　競技場にビールグラスを置いて注いだ。オレたちは一斉に飛び込んではしゃいでいる。小さなオレがちょっとうらやましかった。
　その様子をネットの動画サイトに投稿して以来、クローンの運動会がブームになった。今度は気の合うクローン同士で、運動会を開催することにしよう。