まっくら投げ

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 光が入る隙のない真の暗闇。

 頼るべきは己の感覚、そして第六感、第七感。抱えた蕎麦殻の枕を揺らさぬように周囲の様子を伺った。

 それは、まごうことなき闇。

 突然、一人の選手が枕を闇雲に投げた。その蕎麦殻の音に向かって更に三人の選手が枕を投げつけた。そして更にその三人に向かって投げつける選手が四人。敗れ去る選手が増える中、私は一人冷静沈着に失格者を数えていた。4、3、2…

 私は勝たねばならない。世界一になるために、暗幕で囲んだ家で一切音を立てずに一緒に暮らしてくれた家族のために。そして私は見事勝利を掴み取った。

「これからも世界一を守り抜きます」

 戦いを終えた私は一番輝くメダルを胸に下げ、帰宅した。祝福のメッセージなのか、妻と子供からの手紙がリビングのテーブルに置かれていた。

 ──あなたにはもうついていけない。

 そんな。お先まっくらだ。
その他
公開:20/08/17 23:17
更新:20/09/07 18:15
空想競技

たらはかに( 日本 )

たらはかに

https://twitter.com/tarahakani
猫ショートショート入選 「猫いちご ・練乳味」
渋谷ショートショート入選 「スク・ラブラブ・ランブル交差点(哀)」とか。

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