サメた商売

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 最近市場で海に巨大ないけすが作られたと聞いて、見学しに行った。一体何のいけすかと思ったら、イタチザメだ。
 イタチザメはとりあえず何でもかみつこうとする好奇心の旺盛さで、日本でも被害が報告されている。
 何でこんなものをいけすの中に入れているのか、漁師に聞いてみた。

「イタチザメなんかいけすに入れてどうするんですか? 肉を食べるんですか?」
「いいや、生きたまま売るんだよ」
「え、じゃあ水族館とか?」
「いいや、さすがに飼えないと思うよ」

 ならば一体どうするのか。漁師は続ける。

「海水浴場に放つのさ。最近遊泳禁止にしても、勝手に泳ぐ奴が多くてね。サメがいるとなれば、誰も海には入らないだろう。マイクロチップを埋め込んでおいて、時期が来たら回収するのさ」

 同様の理由でカツオノエボシ(通称電気クラゲ)も大量に売っているらしい。日本のモラルは一体どうなっているのだろうか。
その他
公開:20/08/16 16:18

フィーカス

短編掌編をよく書いています。
時々何かに入賞したりします(2回)。
わけのわからない世界観を生み出したいです。

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