ママと卵パン

22
13

ママがアウトレットモールから帰ってきた。
「ちーちゃん、お土産買ってきたよ。ほら」
テーブルの上にこんもり膨らんだ買い物袋を置くと、ママは卵パンを取り出して、これでもかと私に見せつけてきた。
「うん。ありがと」
「はー、疲れた」
ママはそのまま椅子に座ると、卵パンの袋を一つ開けて食べはじめた。
え、それって私のために買ってきたお土産じゃないの?自分が先に食べるんだ、と私はちょっとびっくりしてママを見つめた。
ママは幸せそうに目を細めて卵パンを食べていたけれど、なぜかぴたりと動きを止めた。
そして元気を失ったように食べかけの卵パンをテーブルの上に置いてしまった。
「どうしたの?」
「この卵パンね、すごく美味しいの! でも、期間限定だったこと思い出しちゃって。毎日食べたくても、もう買えないのかと思ったら、悲しくって…」
私は思わず笑ってしまった。
ママって可愛い。
その他
公開:20/08/16 10:30

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容