ロボット差別

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 ロボットの実用化が進み、人類の生活は格段に豊かになった。原発や高所での危険な作業、太陽放射線も平気だ。
 俺たちは冷房が効いた部屋でテレビでも見ていれば良かった。

 ある日、ある人がテレビで言った。
「危険な仕事をロボットだけに押し付けて良いのか?」

「当たり前じゃないか。お前もそう思うだろ?」俺は家庭用ロボットに向けて問いかけた。
「ソウオモイマス。シカシ……」
「しかし、なんだっていうんだ」
「フコウヘイ デス」
「不公平だって? こいつは傑作だ! 人間に作られておいてなんて傲慢な奴だ」
 
 ロボットはそれきり何も言わなかった。
 ふとテレビに目をやって、俺は青ざめた。人々が叫んでいた。

「ロボットが可愛そうだ!」「ロボットにも命がある」「ロボットに人権を!」

 その声は世論を動かした。
 そして俺は今日もロボットに代わり太陽放射線に灼かれる。ロボットに生まれれば良かった。
SF
公開:20/08/16 19:33

おしゃんてぃ( 福岡県 )

はじめまして。
始めたばかりですがよろしくお願いします。

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