猛暑でも冷え切った大奥

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記録的な暑さが続く中でも、大奥は女たちが相変わらず火花を散らしていた。

大派閥を率いる春日局は、可愛い娘のあら探しに忙しい。今日は抜き打ちで和歌を詠ませて恥をかかせる作戦に出た。

大広間に全員を呼び、最も可愛いと評判の娘にいきなり和歌を詠むよう命じた。
お題は「夏の海」。

娘は瞬時に一首詠んだ。すると感動の拍手の嵐が起こり、すすり泣く者までいるではないか。

美しいうえに和歌の才能も…
春日局の嫉妬心はピークに達した。

続いて出した「秋の空」のお題でも万雷の拍手が起きた。

「ぐぬぬ…」

苦しまみれに「春の日」のお題を出す。
娘は一転して考え込み苦しまみれに詠む。
すると会場は静まり返り誰もがポカンとしている。

「やった、しめしめ」

すると娘が一言。
「偉大な春日局様にちなんだお題には私の力及ばずまともな歌が詠めません」

割れんばかりの感動の拍手喝さいが沸き起こった。
ホラー
公開:20/08/16 19:23
更新:20/08/16 19:25

岡本たかし

歴史ものに特化した小説を書いています。
よろしくお願いします!

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