Re:ロードボタン

「だから、ゲームでうまく行かなかった時ロードするでしょ？それと一緒。このボタンを押すと、好きなところから人生何回でもやり直せるんだって。すごくない？」

　彼女は目を輝かせて言った。

「たしかに、すごいとは思う。でもさ…ちょっと怖くない？」
「怖い？何が？」
「だって、それって要するに時間を巻き戻せるってことでしょ。そんなすごいこと、なんのリスクもなくできるものなのかな」
「リスクあったって、それだけの見返りはあるじゃん」

「じゃあ、今から押しまーす！」
「ちょっ、え、今！？」

　彼女は迷わずリロードボタンを押した。先程ああ言ってはいたが、内心そんなもの存在しないと思っていたのだろう。
　だが実際に時間は巻き戻り、気が付いた時には横に彼女の姿はなかった。



　……ん、彼女とは誰だろう？

　私は少し考えたが、すぐに興味を無くして本の続きを読み始めた。