頭の中で

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 人間がその頭脳を働かせることに特化し、手足が退化してほとんど飾りのような小さなものになった時代。その行動は軽くスイッチを押すとか友達に手を振るとか握手をするくらいにしか使われなくなった。ほかの事は全て機械が行う。身の回りの世話はロボット任せだし、移動は一人ずつ皆、専用の小型円盤にちょこんと乗って生活している。
 体を動かさなくなった人間の世界では肉体労働やスポーツが無くなった。無くなると欲しくなるのが人間の性だ。スポーツはやるのも見るのもニーズがあった。そこで代わりにロボットがスポーツをするようになった。次いで人間が脳で考えたものを映像化する技術が開発され、それらをネットワークで繋いで一堂に集める技術も生まれた。
 人間はかつてその体で実際に行っていた競技を脳内で自ら生み出した選手を使って行うようになった。皆、自宅に居ながらにして競技場に集まり大きかった歓声が静まり、そして走り出す。
その他
公開:20/08/15 04:41

N(えぬ)( 横浜市 )

読んでいただきありがとうございます。(・ω・)/
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