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事故死した両親の墓参りの際、気になるモノがある。墓地の奥にある林の陰に、隠れるように置かれた小さな墓石である。碑銘は読めない。
…何年も放置されて、可哀そうだ。その程度の気持ちで僕は花を供え、香を焚いた。
翌月も、僕は名も知らぬ墓に花を供えた。
ある日の墓参り、また例の墓にも花を供え終えた時、見知らぬ老婆に話しかけられた。
「いつもありがとうございますだ」
「何のことです?」
理由を聞いても、老婆の言葉に脈絡はなく、意味不明な言葉を繰り返していた。
「やめて下さい」
そう怒りかけると、老婆は怪訝な顔をした。
「いえいえ…あなたが私の墓をキレイにしてくれた縁がきっかけで、私もあなたの親御さんと仲良くなりましてねえ、親御さん、よく仰ってますよ『本当は息子も一緒に墓に入る予定だったのに、残念だ』てぇね…ひひ、おちゃめな親御さんだあ……」
それ以来、僕は墓参りに行っていない。
…何年も放置されて、可哀そうだ。その程度の気持ちで僕は花を供え、香を焚いた。
翌月も、僕は名も知らぬ墓に花を供えた。
ある日の墓参り、また例の墓にも花を供え終えた時、見知らぬ老婆に話しかけられた。
「いつもありがとうございますだ」
「何のことです?」
理由を聞いても、老婆の言葉に脈絡はなく、意味不明な言葉を繰り返していた。
「やめて下さい」
そう怒りかけると、老婆は怪訝な顔をした。
「いえいえ…あなたが私の墓をキレイにしてくれた縁がきっかけで、私もあなたの親御さんと仲良くなりましてねえ、親御さん、よく仰ってますよ『本当は息子も一緒に墓に入る予定だったのに、残念だ』てぇね…ひひ、おちゃめな親御さんだあ……」
それ以来、僕は墓参りに行っていない。
ホラー
公開:20/08/15 03:09
更新:20/08/17 11:22
更新:20/08/17 11:22
墓
墓参り
心中
霊
ショートショート好き。
得意ジャンルはホラー。
座右の銘は『清く正しくいやらしく』。
好きな書籍は『悪魔の辞典』と『悪魔の寓話』。
制限400字という発想に感銘。
コメントとフォローはできるだけ返します。
楽天ブログにて『株式会社SEES』の名でショートショートと短編小説掲載中。
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さて、今日はどんな事件が起きることやら……。
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