記憶をインストール

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SF作品で人の記憶を別の人の脳にインストールするって話をよく目にする。
自分の脳に他人の思考が入ってくるんだ。そんなの、普通に考えたら気持ち悪い。
自分が失われ、他人になる可能性がある。
なのに現実でもこの理論は可能なのかと、日々研究が続いている。
意味が分からない。そうやって、金持ちを永遠に生かす方法でも模索しているのか?
私の疑問を研究者は否定した。
「我々は未来に、過去の負の記憶を残そうとしているのです」
過去の負の記憶?それこそ、未来には必要のないものだ!
「いいや。戦争の記憶はこうしている間にも失われている。戦争の記憶が忘れ去られ、伝える事が出来なくなった時、人はまた愚かにも戦争を始めるだろう。我々は戦争体験者の方々の記憶を未来へと繋ぎ、もう二度と戦争のない世界を作ろうとしている」
研究者の答えに私は言葉を失った。
「喉元過ぎれば熱さを忘れる。炎の記憶を我々は絶やしてはいけない」
SF
公開:20/08/15 00:15

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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