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私の命は今日で終わる。
親の顔も知らず、外の世界も知らずに今日まで生きてきた私にとって、死ぬことはさほど怖くない。むしろ、「やっと喜んでもらえる」という嬉しさの方が大きかった。
この日まで大事に育ててくれたことが、私のためではなくたって別にいい。それが私の運命なのだから。
そんなことに思いを巡らせていると、今まで共に過ごしてきた“りんじん”たちが私に声をかけてきてくれた。

「短い間だったけど隣にいてくれてありがとう」と。

間もなくして、その時が来た。
部屋がぐらぐらと揺れ、同時に私も揺れ出した。頭上からは太陽の光が差し込み、外の世界に頭が出かかった時、下から“りんじん”の声が微かに聞こえた。
「あっそうだ!私たちって子どもに嫌われやすいんだってー!」




食卓に並ぶ自分を見ながら、私の魂はこの一言を聞き逃さなかった。

「えー、ぼく、にんじんきらーい」
その他
公開:20/08/14 18:09

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