落涙選手権

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私はぼろぼろと泣いていた。
涙は頬を伝って落ち、ビーカーに溜まっていく。

「田中選手、現在25㏄です。これは厳しい!」

全国高等学校落涙選手権大会、女子の部決勝。私は劣勢だった。
残りあと一分。涙の量で負けている。

私は辛い思い出をふり返った。
友達との喧嘩。失敗した初恋。おばあちゃんが死んじゃった日のこと。
――だめだ、もう涙が枯れた。これまでか。

ふと、相手選手が見えた。
人形のように綺麗な顔をくしゃくしゃにして泣いている。

そういえばコーチが言ってたっけ。
相手は「嬉し泣き」で勝負してくるって。
あんなに可愛かったら、素敵な思い出もたくさんあるのかな。

でも、昔から泣き虫なだけの私には何もない。
そう思うと視界が一気に滲んでいった。

「田中選手が逆転優勝です!」

観客席から飛び出してきたコーチと一緒になって泣いた。
あんなに泣いたのに、まだまだ涙は止まりそうにない。
青春
公開:20/08/15 21:01
更新:20/08/18 21:54
空想競技2020

広瀬 ひとり( 湘南 )

面白そうだと思って始めました。
400文字に収めるって、難しい。

noteやってます▶︎https://note.com/hitori_cough

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