スイカバー農家

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親戚のおじさんが何やら農家を始めたらしいので、見にいくことになった。
広い畑。その中に杭が一本立っているのかな? と思わされるくらい遠くに、彼は立っていた。
汗だくになってそちらに向かう。

「スイカバー農家を始めたんだ」
スイカバー農家? 一体どういうことだろう。
「ちょっと見てな」
おじさんはそう言うと、足元に転がっている、まん丸のスイカを手に取った。そして。
パカ。
それを目の前で割って見せた。するとどうだろう。内側からは冷気を纏った立派なスイカバーが顔を出した。スイカの形に沿っているから、球体のスイカバー。バーはまだついていないけれど。

おじさんは立派に育ったスイカバーを丁寧に切り分け、棒を刺して袋に詰めていく。僕は思わず訊いた。
「スイカバーってどうやって育てるの?」
おじさんは少し悪役みたいな、あくどい笑みを浮かべて答える。
「店に売ってるスイカバーの種を植えたんだよ」
その他
公開:20/08/15 18:36

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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