神風特攻隊

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帝都にある私立大学の経済学部三年生のとき、学徒出陣があり、俺は繰り上げで卒業となって明治神宮外苑競技場での壮行会に参加したあと、大日本帝国陸軍に配属となった。
埼玉の熊谷陸軍飛行学校で訓練を受けた俺は、いよいよ鹿児島の知覧基地から南方へ向け、神風特攻隊として飛び立った。
すると、上空で不思議な光景を目の当たりにした。突如、帝国議会議事堂の中央塔より遥かに高いビルヂング群が見え、遠い向こうに富士山が現れた。どれも昭和一〇年代とは思えない佇まいで、大学時代を過ごした帝都とはかなり様相が異なる。
一撃轟沈のため気持ちが高揚して幻覚を見ているのかと思ったが、赤レンガの駅舎に「東京」の文字も見えるので、やはり帝都のようだ。
でも、妙だ。俺は南方へ向かって太平洋の上空を飛行しているのだから帝都など見えるはずがない。
そして、景色が元に戻った次の瞬間だった。目の前に閃光が走り、俺の意識は遠のいていった。
青春
公開:20/08/15 07:01
帝都 私立大学 経済学部 学徒出陣 明治神宮外苑競技場 大日本帝国陸軍 熊谷陸軍飛行学校 知覧 南方 帝国議会議事堂

山田衆三( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育ち、大学時代は京都(御所の近く)、大学院時代は湘南(海ではなく山側)で過ごす。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年06月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。

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