木下闇

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公園の中に一ヶ所だけ木の下が他と比べて一層暗い場所がある。木下闇(このしたやみ)というらしい。夜、ふとそれをベッドの中で思い出した。その闇の中でこちらを注意深そうに見ている二つの目があった。怖いが気になる。目を細める様に見ていると、その何かがこちらを手招きした。
「ちょっと、そこの。悪いんだけど預かってくれ」
ズンと、両手にスイカ並の重みを感じた。返事を待つ前に、誰かが何かを押し付けてきたらしい。度々ごろんと動く度、支え直すと腕がビリビリと痺れた。悪戦苦闘する間も、足元に小さな何かの集団が通りすぎ、頭の上を巨大な影が僕を跨いで行った。それでも、声も出さずじっと待っていたのは怖さからなのか、性質の為なのか。
「トイレ我慢してたんだ。おお、お前が気に入ったみたいだな」
ひょいと両手から何かを取り上げ去っていった。一瞬うぎゃあ、とそれは泣いた。
それ以来、度々何かの赤ん坊を持つ夢を見る。
その他
公開:20/08/13 13:29
ちょっと持っててほしい 育児 トイレくらい普通にしたい

射谷 友里

射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。

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