無人島に死神

20
9

砂浜でボロの服を着た男が、海岸線を眺めている。ヘリをジャックされた哀れな元操縦士。激しい嵐でヘリは墜落。気がつけば彼は無人島にいた。木の実で飢えは凌げたが、冬になればまず助からない。船を待ち数ヶ月。絶望に暮れたとき、見覚えある銃を拾った。

「楽になれる…」
「銃」と「自由」は似ている。だが、彼に自由は得られなかった。銃に弾はもうないのだから。
憔悴した彼は、銃に記された数列を唱え続けた。
恨み、嘆き、どこか祈るように。

時間の感覚すら失った頃衰弱した彼を、船が保護した。

ーー遠い未来

「死ねなかった。だが、それが奇跡を起こした。」

そんな序文で本は始まる。

無人島から帰還後、宝くじに当選した作者の、銃を巡る自伝的ファンタジー小説はこの時代でもロングセラーだ。

「久しぶり」

未来に帰還した男が本を片手に表紙の銃を見て微笑む。肩に添えた妻の手にカラフルネイルがよく似合う。
ファンタジー
公開:20/08/14 00:00
更新:20/08/14 10:07
死神シリーズ6

空津 歩( 東京在住 )

空津 歩です。

ずいぶんお留守にしてました。

ひさびさに描いていきたいです!


Twitterアカウント(告知&問い合わせ)
https://twitter.com/Karatsu_a

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容