タイムスリップ
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咲子は雨音を聞いてベランダに出た。近くの公園の灯りが木々とその奥に見える傘を照らした。壊れた傘が飛んで、枝に引っかかっているのかと思ったがそうではない。この雨の中、人が歩き回っているのだ。
「同じ条件じゃないと、タイムスリップ出来ないっていうやつだったりして」
母が夕飯の支度をしながらちらりと咲子を見た。
「ご飯出来る前に宿題しなさいよ」
「今日はないの。ねぇ、何か変な動きしてるよ」
「何か事情があるんでしょ」
「どんな事情よ」
「宿題ないならサラダくらい作ってよ」
母がエプロンで手をふきながら近寄ってきた。
「何だ、お母さんも気になってるんじゃない」
「変質者だったら嫌じゃない。あら本当、行ったり来たりしてるね。あ、ジャンプしてる」
「あはは、転んだよ」
一連の動作を繰り返しているようだ。
「あ、ガッツポーズした」
光が人を飲み込んだ。雨音が戻り、傘のみ雨に打たれていた。
「同じ条件じゃないと、タイムスリップ出来ないっていうやつだったりして」
母が夕飯の支度をしながらちらりと咲子を見た。
「ご飯出来る前に宿題しなさいよ」
「今日はないの。ねぇ、何か変な動きしてるよ」
「何か事情があるんでしょ」
「どんな事情よ」
「宿題ないならサラダくらい作ってよ」
母がエプロンで手をふきながら近寄ってきた。
「何だ、お母さんも気になってるんじゃない」
「変質者だったら嫌じゃない。あら本当、行ったり来たりしてるね。あ、ジャンプしてる」
「あはは、転んだよ」
一連の動作を繰り返しているようだ。
「あ、ガッツポーズした」
光が人を飲み込んだ。雨音が戻り、傘のみ雨に打たれていた。
SF
公開:20/08/14 10:23
射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。
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