シャッター商店街

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いまや日本全国どこだって、石を投げればシャッター商店街に当たるんじゃないだろうか。シャッター通りとも呼ばれる。不況の象徴だ。

だが、都会のど真ん中、例のウイルス感染者が突出して増え続けているその街のシャッター商店街は違う。

地方のそれ同様、人影は皆無、閑古鳥が鳴く。

だが、どの店も大繁盛だ。

「超高性能で特殊で特別な能力があります」。何の変哲もないシャッターを、そんな触れ込みで売り始めたからだ。

どんなシャッターだって、ウイルスを完全遮断するなんて無理。でも、その商店街は人の心理に巧みにつけ込んだ。不安な時は何かにすがりたくなるもの。「さらば、ウイルス」。そんなキャッチコピーで畳みかけ、グングン売り上げを伸ばしている。

景気に振り回されてきた彼らによる、人心を振り回す大逆襲。

シャッターは飛ぶように売れている。

人と人の距離も、どんどん離れていく。
その他
公開:20/08/14 09:54

ふみなか( 東京 )

40代半ばの会社員。家族は妻、中3息子、小6娘。つらつらと文章をつづるのが好きです。読んでいただけたら嬉しいです。

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