父の身代わりになった兄

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私の父は戦時中は中国で日本軍の指揮官をしていて、戦闘中に敵に撃たれ落馬し北京の病院に収容され九死に一生を得た。
だがその同じ日時に日本に残されていた長男は、恰も身代わりの様に赤痢で亡くなった。

暫くして父は帰国させられたが、足には散弾が残り毎年梅雨の季節には傷が痛み苦しんでいた。

その後に私が生まれたが、ある日私は家のアルバムを見ていて父が出兵する前に写真館で記念に撮った写真に、自分が映っているいるのを見付け、糊付けされている写真を無理やり剥がし自分のアルバムに移し替えた。

それに気が付いた家族がそれはお前ではなく、亡くなった兄ちゃんだと教えたが、私は頑なに自分だと言い張った。
その時家族は私が兄の生まれ代わりでないかと驚くと同時に確信に変わった。

自分は兄の犠牲の基に今があり、兄と共に生きていると思う。お盆が来るとそれをより強く感じ、兄貴お帰りなさい!
ファンタジー
公開:20/08/14 09:44
更新:20/09/12 18:00
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