あの頃のメリーゴーランド

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小さい頃によく両親が連れて行ってくれたこの遊園地が、もうすぐ閉園すると聞き、最後にもう一度だけ、とひとりでここに訪れた。
当時のような活気はなく、遊園地とは思えないほどひっそりとしている。
小さな私は、ここのメリーゴーランドが大好きだった。
そして今日の私は、ゴールドたてがみの白馬を選んで乗ることに。
ヨーロッパ映画を彷彿とさせるワルツが流れると同時に、馬たちが動き出す。
その瞬間、私の中の小さな記憶が次々とよみがえった。

楽しみで眠れなかった、前日の夜。
入場したとき、走っちゃダメよと言って私の手を優しく握ったママ。
あそこのベンチで食べた、いちごのソフトクリーム。
帰りたくないと言う私を、無理矢理抱きかかえるパパ。
疲れて眠った帰りの車内。

あの頃に思いを馳せ、気づいたら胸が熱くなっていた。
私を乗せるゴールドたてがみの白馬は、ワルツが鳴りやみ動きを止めると、ヒヒィンと鳴いた。
青春
公開:20/08/11 23:07
更新:20/08/12 09:44

日常のソクラテス( 神奈川 )

空想競技コンテスト銅メダル『ピンポンダッシュ選手権』
空想競技コンテスト入賞  『ダメ人間コンテスト』
ベルモニー Presents ショートショートコンテスト入賞 『縁茶』
X (twitter):望月滋斗 (@mochizuki_short)

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