道の子の道
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驚くのも無理はない。なにせ高速道路で突然子供が飛び出してきたのだから。
「なんだ今のは。たしかに人だったぞ。まさかあれが…」
私がハンドルを握ったまま頷くと、後部座席の大臣が身を乗り出してきた。
ある時期から、この高速道路ではパタリと渋滞が消えた。道の子のおかげだ、と運営会社は正直に伝えたが信じてもらえず、わざわざトップ自らの視察となったのだ。
「また来たぞ!あ、なんか拾ってった!」
はしゃぐ大臣に、もう一度おなじ説明を繰り返す。道の子は、正しく減速した車が落としたスピードを拾う。そして登り坂に先回りし、知らぬ間にノロノロ運転になっている車に、今度は橋の上からスピードを投げつけてあげる。
「なるほど。それで自然渋滞が。でも事故渋滞もないとは不思議だな」
その理由はまだ分かっていない。ただ利用者からは、なぜか危機を察知できて命拾いした、との声が多く寄せられている。
「なんだ今のは。たしかに人だったぞ。まさかあれが…」
私がハンドルを握ったまま頷くと、後部座席の大臣が身を乗り出してきた。
ある時期から、この高速道路ではパタリと渋滞が消えた。道の子のおかげだ、と運営会社は正直に伝えたが信じてもらえず、わざわざトップ自らの視察となったのだ。
「また来たぞ!あ、なんか拾ってった!」
はしゃぐ大臣に、もう一度おなじ説明を繰り返す。道の子は、正しく減速した車が落としたスピードを拾う。そして登り坂に先回りし、知らぬ間にノロノロ運転になっている車に、今度は橋の上からスピードを投げつけてあげる。
「なるほど。それで自然渋滞が。でも事故渋滞もないとは不思議だな」
その理由はまだ分かっていない。ただ利用者からは、なぜか危機を察知できて命拾いした、との声が多く寄せられている。
ファンタジー
公開:20/08/11 22:46
400字って面白いですね。もっと上手く詰め込めるよう、日々精進しております。
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