夜ぞら
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「今日、流星群が見えるらしいよ。」
そう言い残して、彼は行ってしまった。急な転勤で、彼がいなくなることを知ったのは1ヶ月前。彼は私にとって、彼氏でもなく、夫でもなく、たまに一緒にお酒を飲むだけの、ただそれだけの存在だった。
「見えるかな。そういうの、いつも見れないのよね。」
間が悪い私は、流星群だとか、日食だとか、そういうタイミングが必要なものをことごとく見逃す。
「いいから。俺の代わりに見てみてくれよ。夜10時くらいらしい。俺、その時間は新幹線の中だから。」
随分無責任なお願いだなと心の中で呟く。
一緒には見てくれないのね。
なんて言えるはずもなく。だって私、あなたの何者でもないもの。一緒に星を見てだとか、星が綺麗だねなんて会話できるはずもないもの。
きっと今日も、星は見えずに終わるのだろう。けれど、一縷の望みをかけて夜空を見上げる。もし見れたとしたら、その時はーーー。
そう言い残して、彼は行ってしまった。急な転勤で、彼がいなくなることを知ったのは1ヶ月前。彼は私にとって、彼氏でもなく、夫でもなく、たまに一緒にお酒を飲むだけの、ただそれだけの存在だった。
「見えるかな。そういうの、いつも見れないのよね。」
間が悪い私は、流星群だとか、日食だとか、そういうタイミングが必要なものをことごとく見逃す。
「いいから。俺の代わりに見てみてくれよ。夜10時くらいらしい。俺、その時間は新幹線の中だから。」
随分無責任なお願いだなと心の中で呟く。
一緒には見てくれないのね。
なんて言えるはずもなく。だって私、あなたの何者でもないもの。一緒に星を見てだとか、星が綺麗だねなんて会話できるはずもないもの。
きっと今日も、星は見えずに終わるのだろう。けれど、一縷の望みをかけて夜空を見上げる。もし見れたとしたら、その時はーーー。
公開:20/08/13 01:01
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