山を越えろ
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競技場は静まり返っていた。
心臓の鼓動だけが聞こえる。観客席には、父と母の姿が見えた。
目の前に、走り高跳びのバーがある。
審判が合図の旗を上げた。
僕はゆっくりと右手を挙げる。
一度目と二度目は、わずかなところでバーを落としてしまった。今度失敗すると、ルールにより失格となる。
よし!
絶好のスタートを切った。踏み切りの位置を確かめ、加速していく。
今だ!
身体が宙を舞った。
マットに着地すると、バーを確認する。そのままの状態を保っていた。
緊張がほぐれ、だんだんと意識が遠のいていく。
次に目が覚めると、ベッドの上だった。
飾りのない、真っ白な部屋だ。たくさんの機械が僕を囲んでいる。
母が心配そうに顔を覗きこむ。
「やっと気がついたのね」
何のことだか、さっぱり分からない。
「昨日の晩、危篤だったのよ」
そうか。
僕はあの時、山を越えたんだ。
心臓の鼓動だけが聞こえる。観客席には、父と母の姿が見えた。
目の前に、走り高跳びのバーがある。
審判が合図の旗を上げた。
僕はゆっくりと右手を挙げる。
一度目と二度目は、わずかなところでバーを落としてしまった。今度失敗すると、ルールにより失格となる。
よし!
絶好のスタートを切った。踏み切りの位置を確かめ、加速していく。
今だ!
身体が宙を舞った。
マットに着地すると、バーを確認する。そのままの状態を保っていた。
緊張がほぐれ、だんだんと意識が遠のいていく。
次に目が覚めると、ベッドの上だった。
飾りのない、真っ白な部屋だ。たくさんの機械が僕を囲んでいる。
母が心配そうに顔を覗きこむ。
「やっと気がついたのね」
何のことだか、さっぱり分からない。
「昨日の晩、危篤だったのよ」
そうか。
僕はあの時、山を越えたんだ。
その他
公開:20/08/13 00:42
空想競技
短い物書き。
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