プルタブ

　Ｈな夢から目覚めたら、右手が布団から出ていて、下腹部の上の空中にある何かに人差し指の爪が引っかかっていた。
　空中の何に引っかかるんだ？
　上体を起こして見てみると、そこにはプルタブがあった。まさに缶ジュースのアレが空中に浮かんでいて、そこに爪が引っかかっているのだ。
　左手でその周辺を探ってみたが何にも触れない。ゆっくりとプルタブの真裏に回って見るとプルタブは見えなくて、人差し指がパントマイムみたいに空中で固定されているだけだった。
　僕はプルタブの正面に正座し、引っかかっている爪を外そうと力を込めた。
　すると、カッシュ！　という音がして、プルタブの口から黄色い液体がジョボジョボとこぼれてきた。
　何だかおしっこを漏らしたみたいだぞ。
　と思い、僕は前の彼女が置いていった妊娠検査薬をプルタブの口に突っ込んでみた。
　陽性だった。
　だから僕は、その日の買い物リストに紙おむつを加えた。