狭い中

飼っているシロについて話したい。
シロとはクワガタのことだ。
分かっている。
「クワガタなのにシロ！？」
と思うのだろう。
5才の甥っ子が名づけたのだが、某アニメの5才児が飼う犬からそうなっただけのこと。
我が家にシロが来てもうすぐ1か月。
最初は昆虫マットの下にばかりいて、なかなか顔を出してくれず、皿木に置いたゼリーを食べることもなく心配だった。
でも最近は表に出て、ゼリーに頭を突っ込みながら食べている。
ケースを覗くと隠れることが多かったが、少しずつ慣れてきたのか活発に動き、元気な姿を見せてくれる。
「かわいい」
正直言うと数か月間、僕は元気がなかった。
ある出来事のため落ち込んでいたからだ。
でもシロと出会い、癒される毎日。
「シロ、狭くてごめんな」
でも僕ら人間も狭い。
井の中の蛙の地盤争い状態。
世界はそんなに狭いだろうか？
「もう嫌だよ．．．」
シロ、ずっと我が家にいてくれな。