暑中見舞い

盆の中日、妻が青ざめた顔で俺に一通の封筒を見せてきた。差出人は…数年前に亡くなった俺の元カノ。妻の姉だ。
背中がぞくりとする。
誰かの悪戯だろう…そう信じたいが封筒の筆跡は間違いなく元カノのものだ。
俺は…俺達は意を決して封筒を開け、中の手紙を読んだ。

『武。恵。結婚おめでとう。お姉ちゃん、天国で二人を祝福してたよ。
　武、恵を幸せにしないと呪い殺すわよ！
　恵、だらしない元カレだけど、いざって時は男らしいから頼りなさい。
　今の私の幸せは二人が幸せであり続ける事よ。私はいつも二人を近くで見守っているからね。』

その手紙に俺達は涙した。
天国にいる彼女は新たな人生を歩む俺達を祝福してくれている。

『PS.手紙を読み終えたら後ろを振り返ってみて』

二人して振り返ると、微笑む女の幽霊がそこに立っていた。
悲鳴を上げる間もなく、女は妻のお腹の中に入っていく。
今日、妻の妊娠が発覚した。